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更新:2024年9月26日 
 事例

売主Aが所有する土地を買主Bに売却し,Bが代金を支払った後所有権移転登記手続を完了する前に,AがCとの間でも売買契約を締結してしまい,CがC名義の所有権移転登記手続を完了してしまった場合,BはCに対して自己の所有権を主張して,C名義の所有権移転登記の抹消を請求できるか。

 解説

1.不動産の第三者対抗要件とは
民法177条では,「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」と規定されています。

すなわち,不動産に関し,物権(所有権,地上権等)を売買,交換,贈与契約等で取得した者は,取得したことを「登記」しなければ,「第三者」に対して,自己が物権(所有権,地上権等)を取得したことを主張できません。

このように,自己の権利を第三者に主張(対抗)するための要件を,「対抗要件」といい,不動産に関する所有権,地上権等の物権の取得(喪失)に関しては,原則として「登記」が「対抗要件」となります。

【民法177条】
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない

2.対抗できない「第三者」とは
民法177条の「第三者」とは,契約当事者及びその包括承継人(相続人等)以外の者で不動産に関する物権の得喪及び変更の登記欠缺を主張する正当の利益を有する者をいい(【東京高裁昭和32年9月28日判決】【新潟地裁新発田支部平成15年12月19日判決】),また,善意の場合だけでなく,悪意の場合でも良いと解されています(【最高裁昭和32年6月11日判決】)。

すなわち,頭書事例で,すでにAB間で売買契約が締結されていることをCが知っていた場合(悪意の場合)でも,「第三者」として保護されるため,BはCに対し,原則として,自己が所有者であると主張してC名義の所有権移転登記の抹消を請求することはできません。

もっとも,判例実務上,次のような者(及びこれに類する者)は,いわゆる「背信的悪意者」として民法177条「第三者」から除外され,このような者に対しては,登記がなくても自己の権利を主張(対抗)できると解されています(【最高裁昭和40年12月21日判決】【最高裁昭和43年8月2日判決】)。

(1) 詐欺又は強迫によって登記の申請を妨げた者(不動産登記法5条1項)

(2) 他人のために登記を申請する義務を負う者(不動産登記法5条2項)
例:不動産の買主(B社)の代表取締役C

(3) 登記がされていないのに乗じ高値で売りつける目的で買い受けた者(【最高裁昭和43年8月2日判決】

【不動産登記法5条】
1 詐欺又は強迫によって登記の申請を妨げた第三者は、その登記がないことを主張することができない。

2 他人のために登記を申請する義務を負う第三者は、その登記がないことを主張することができない。ただし、その登記の登記原因(登記の原因となる事実又は法律行為をいう。以下同じ。)が自己の登記の登記原因の後に生じたときは、この限りでない。

【最高裁昭和32年6月11日判決】
不動産所有権の移転につき第三者が単に悪意であるというだけでは、譲受人の登記の欠缺を主張する正当の利益なしとはいえない

【東京高裁昭和32年9月28日判決】
登記は不動産に関する物権の得喪及び変更を以て第三者に対抗する要件であつて、民法第百七十七条にいわゆる第三者とは、当事者もしくはその包括承継人以外のもので不動産に関する物権の得喪及び変更の登記欠缺を主張する正当の利益を有するものを指称するものと解すべきである。

【最高裁昭和40年12月21日判決】
民法一七七条にいう第三者については、一般的にはその善意・悪意を問わないものであるが、不動産登記法四条【※現5条1項】または五条【※現5条2項】のような明文に該当する事由がなくても、少なくともこれに類する程度の背信的悪意者は民法一七七条の第三者から除外されるべきである。
※【 】内は筆者加筆。

【最高裁昭和43年8月2日判決】
上告人は、村図等について調査して、本件山林が被上告人の永年占有管理していることの明らかな本件係争地域内にあって、被上告人がすでにこれを買い受けているものであることを知ったうえ、被上告人が登記を経ていないのを奇貨として、被上告人に対し高値でこれを売りつけて利益を得る目的をもって、本件山林を買い受けるに至ったものである。
<中略>
前記事実関係からすれば、上告人が被上告人の所有権取得についてその登記の欠缺を主張することは信義に反するものというべきであって、上告人は、右登記の欠缺を主張する正当の利益を有する第三者にあたらないものと解するのが相当である。

【新潟地裁新発田支部平成15年12月19日判決】
民法177条にいう第三者とは、当事者もしくはその包括承継人以外の者であり、物権変動に係る登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する者をいい、背信的悪意者はこれに該当しない。

 結論

以上より,頭書事例では,CがBを強迫して所有権移転登記手続をすることを積極的に妨げたとか図利目的等の背信的な事情が無い限り,BはCに対し,自己の土地所有権を主張することはできません。

 実務上の注意点

3.民法177条の「登記」とは
不動産の登記は,大きく「表題部」の登記(不動産の所在地や面積等の現況に関する情報の記載部分で「表題登記」または「表示登記」と呼ばれるもの)と「権利部」の登記(所有権,地上権,地役権,抵当権等の権利及び権利者に関する情報の記載部分で「権利の登記」と呼ばれるもの)に分けられます。

民法177条「登記」は,このうち「権利部」の登記(権利の登記)のみを意味し,「表題部」の登記(表示登記)は含まれないと解されています(舟橋諄一ほか編『新版注釈民法(6)(補訂版)』〔有斐閣 2009年〕289頁)。

この点,【大阪地裁平成22年1月8日判決】でも,「表示登記は不動産の現状を明らかにするもので,不動産に対する権利の登記の基礎となるものではあるが,権利の登記とは異なり対抗力がなく,表題部所有者として登記された者が当該不動産を処分し,その旨の登記をするためには改めて所有権保存登記を経る必要がある」と判示されています。

従って,「表題部」の「所有者」欄にいくら買主名義の登記をしても,民法177条に基づく対抗要件とはならず,これをもって自己の所有権を第三者に対抗することはできません。

なお,いわゆる所有権の保存登記(表題登記のみで権利部の登記がされていない不動産について権利部に最初にする所有権の登記)は,あくまで「権利の登記」であるため,仮に当該保存登記に至るまでの物権変動の過程が登記されていなくても,現在の権利状態が公示されている以上,対抗要件として認められます。

例えば,新築マンション(区分所有建物)の分譲販売では,表題部の「所有者」以外の者でも権利部に所有者として保存登記できるため(不動産登記法74条2項),表題部の「所有者」欄にはデベロッパーの名称,権利部には,購入者が所有者として保存登記するケースが多々見受けられます。

本来,物権変動を権利部の登記に忠実に反映させるとすれば,権利部にも一旦デベロッパー名義で保存登記した上で,デベロッパーから購入者名義へ所有権の移転登記をすべきですが,ダイレクトに購入者名義で所有権の保存登記をしても,当該購入者は対抗要件を具備できると解されています(【東京高裁昭和32年9月28日判決】)。

【不動産登記法74条】
1 所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。

一 表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人

二 所有権を有することが確定判決によって確認された者

三 収用(土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律の規定による収用をいう。第百十八条第一項及び第三項から第五項までにおいて同じ。)によって所有権を取得した者

2 区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、前項の登記を申請することができる。この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。

【東京高裁昭和32年9月28日判決】
元来我が国の民法は物権変動に関しいわゆる意思主義を採用しているのであつて、登記は不動産の物権変動を第三者に対抗する要件たるにすぎないのであるから、登記が不動産に関する現在の真実なる権利状態を公示している以上、たとえその現在の状態に至るまでの過程又は態容が実際と異つていても登記の立法上の目的を達するに足るものである。
従つて売買により訴外Aから所有権を取得した被控訴人が、右のとおり本件土地について保存登記をした以上、右保存登記以後においてはその所有権取得を以て第三者に対抗しうる

4.借地借家法に基づく借地権の対抗要件
借地借家法10条1項では,「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる」と規定されています。

要するに,土地の所有者Aが,当該土地にBとCに二重で借地権を設定してしまった場合,Bは,当該土地に借地権の設定登記を受けなくても,当該土地上に建物を建築し,その建物について自己を所有者とする登記があれば,第三者たるCに対し,自分が借地権者であることを主張できることになります。

そして,この借地借家法10条の「登記されている建物」の「登記」は,民法177条の「登記」と異なり,表題部の所有者欄の登記(表示の登記)も含まれると解されています(【最高裁昭和50年2月13日判決】)。

従って,借地権の場合は,借地上の建物につき,表示の登記(表題部の所有者欄に自己の氏名を登記)さえしておけば,第三者に対抗できることになりますので,民法177条の「登記」との違いには注意する必要があります。

なお,仮に建物の表題登記の一部に誤りがあったり増改築などにより床面積等の記載が現況と異なっていても,土地を買い受けようとする第三者は現地を検分して建物の所在を知り、ひいて賃借権等の土地使用権原の存在を推知することができるのが通例であることから,登記の表示全体として建物の同一性を認識し得る程度の軽微な齟齬に過ぎず,建物としての同一性が損なわれない場合には,借地権の対抗力も失われないと解されています(【最高裁昭和40年3月17日判決】)。

【借地借家法10条】
1 借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

2 前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。

【最高裁昭和40年3月17日判決】
「建物保護ニ関スル法律」【※現借地借家法10条1項】は、建物の所有を目的とする土地の借地権者(地上権者および賃借人を含む。)がその土地の上に登記した建物を有するときは、当該借地権(地上権および賃借権を含む。)の登記なくして、その借地権を第三者に対抗することができるものとすることによって、借地権者を保護しようとするものである。
この立法趣旨に照らせば、借地権のある土地の上の建物についてなされた登記が、錯誤または遺漏により、建物所在の地番の表示において実際と多少相違していても、建物の種類、構造、床面積等の記載と相まち、その登記の表示全体において、当該建物の同一性を認識し得る程度の軽微な誤りであり、殊にたやすく更正登記ができるような場合には、同法一条一項にいう「登記シタル建物ヲ有スル」場合にあたるものというべく、当該借地権は対抗力を有するものと解するのが相当である。
もともと土地を買い受けようとする第三者は現地を検分して建物の所在を知り、ひいて賃借権等の土地使用権原の存在を推知することができるのが通例であるから、右のように解しても、借地権者と敷地の第三取得者との利益の調整において、必ずしも後者の利益を不当に害するものとはいえず、また、取引の安全を不当にそこなうものとも認められないからである。
※【 】内は筆者加筆。

【最高裁昭和50年2月13日判決】
建物保護ニ関スル法律一条【※現借地借家法10条1項】が、建物の所有を目的とする土地の借地権者(地上権者及び賃借人を含む。)がその土地の上に登記した建物を所有するときは、当該借地権(地上権及び賃借権を含む。)につき登記がなくても、その借地権を第三者に対抗することができる旨を定め、借地権者を保護しているのは、当該土地の取引をなす者は、地上建物の登記名義により、その名義者が地上に建物を所有する権原として借地権を有することを推知しうるからであり、この点において、借地権者の土地利用の保護の要請と、第三者の取引安全の保護の要請との調和をはかろうとしているものである。
この法意に照らせば、借地権のある土地の上の建物についてなさるべき登記は権利の登記にかぎられることなく、借地権者が自己を所有者と記載した表示の登記のある建物を所有する場合もまた同条にいう「登記シタル建物ヲ有スルトキ」にあたり、当該借地権は対抗力を有するものと解するのが相当である。
※【 】内は筆者加筆。

5.地上権の対抗要件
太陽光発電事業用地に関しては,事業者は,所有権を取得するのではなく,地上権を設定・取得するケースがしばしば見受けられます。

太陽光発電設備は「建物」ではなく(この場合の地上権は建物所有を目的とするものとはいえず)借地の要件を満たさないため,借地借家法に基づく借地権の対抗要件ではなく,地上権の登記をしておかないと,当該地上権を第三者に対抗することができなくなります。

そして,地上権を登記する際は,存続期間の定めがあれば「存続期間」も登記されますが(不動産登記法78条3号。但し,民法268条1項により存続期間の定めのない地上権も有効であるため相対的登記事項),登記に記載された存続期間が満了している場合には,いわば存続期間の満了により地上権が消滅したものとして公示されている状態であり,仮に実際には更新や期間延長の合意がされていたとしても,もはや地上権を第三者には対抗できないと考えられています(令和元年7月30日法務省法制審議会民法・不動産登記法部会第6回部会資料9「不動産登記制度の見直し(2)」19頁参照)。

これに対し,地上権が建物所有を目的とし借地の要件を満たす場合には,正当な事由に基づくことを理由として消滅させられる場合を除き、土地所有者の意思とは関係なく、原則として、当事者間において定められた期間満了の後においても更新され継続することが予定されており(借地借家法5条,6条),更新により地上権の存続期間が延長されている場合であっても、更新の前後を通じてその地上権は同一性を有しており、更新前の地上権が消滅する関係に立つものではないと解されています(【最高裁昭和59年4月5日判決】)。

従って,建物所有を目的とし借地の要件を満たす地上権の場合は,更新前の地上権についてなされた地上権設定登記をもって更新後の地上権の公示方法としてなお有効であり,仮に借地上の建物登記がなくても(借地上の建物登記がある場合は借地借家法に基づく借地権の対抗要件が具備されるのでそもそも地上権登記は不要でありこのような問題は生じません),更新前の地上権登記をもって,第三者に対抗できると考えられます。

もっとも,借地借家法7条1項(建物の再築による借地権の期間の延長)の場合ではなく,同法5条1項(借地契約の更新請求)又は2項(土地の使用継続)による更新の場合には,前掲【最高裁昭和59年4月5日判決】の射程は当然には及びません。

むしろ,【名古屋高裁昭和29年6月7日判決】では,借地借家法5条1項(借地契約の更新請求)又は2項(土地の使用継続)による更新の場合には,更新前後の地上権としての同一性を否定しており,地上権設定登記後に土地の所有権を取得した者による当該地上権抹消登記請求を認めています。

従って,多湖・岩田・田村法律事務所では,存続期間が登記がされている地上権が更新又は存続期間延長された場合には,太陽光発電事業用地のように建物所有を目的としない地上権はもちろん,建物所有を目的とする(借地の要件を満たす)地上権であっても借地借家法に基づく借地権の対抗要件を具備していない(借地上の建物登記がされていない)ものについては,存続期間の変更登記も必ずしておくよう助言しています。

なお,いずれにしても,登記実務上,地上権を譲渡する際,登記記録上存続期間が満了している地上権の移転登記については受理することができず,実体上,当該地上権の存続期間が延長されている場合には,まず存続期間の変更の登記をした上で,当該地上権の移転登記を申請すべきとされています(昭和35年5月18日付け民事甲第1132号民事局長通達。但し,登記上存続期間満了した地上権を敷地権とするマンション区分所有権の移転登記は可能/平成30年10月16日付け法務省民二第489号法務省民事局民事第二課長通達)。

【民法268条】
1 設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときは、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる。ただし、地代を支払うべきときは、一年前に予告をし、又は期限の到来していない一年分の地代を支払わなければならない。

2 地上権者が前項の規定によりその権利を放棄しないときは、裁判所は、当事者の請求により、二十年以上五十年以下の範囲内において、工作物又は竹木の種類及び状況その他地上権の設定当時の事情を考慮して、その存続期間を定める。

【借地借家法4条】
当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から十年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、二十年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。

【借地借家法5条】
1 借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。

2 借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。

3 転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする土地の使用の継続を借地権者がする土地の使用の継続とみなして、借地権者と借地権設定者との間について前項の規定を適用する。

【借地借家法6条】
前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。

【借地借家法7条】
1 借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失(借地権者又は転借地権者による取壊しを含む。以下同じ。)があった場合において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造するにつき借地権設定者の承諾がある場合に限り、借地権は、承諾があった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から二十年間存続する。ただし、残存期間がこれより長いとき、又は当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間による。

2 借地権者が借地権設定者に対し残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造する旨を通知した場合において、借地権設定者がその通知を受けた後二月以内に異議を述べなかったときは、その建物を築造するにつき前項の借地権設定者の承諾があったものとみなす。ただし、契約の更新の後(同項の規定により借地権の存続期間が延長された場合にあっては、借地権の当初の存続期間が満了すべき日の後。次条及び第十八条において同じ。)に通知があった場合においては、この限りでない。

3 転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする建物の築造を借地権者がする建物の築造とみなして、借地権者と借地権設定者との間について第一項の規定を適用する。

【不動産登記法78条】
地上権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 地上権設定の目的

二 地代又はその支払時期の定めがあるときは、その定め

三 存続期間又は借地借家法(平成三年法律第九十号)第二十二条第一項前段若しくは第二十三条第一項若しくは大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法(平成二十五年法律第六十一号)第七条第一項の定めがあるときは、その定め

四 地上権設定の目的が借地借家法第二十三条第一項又は第二項に規定する建物の所有であるときは、その旨

五 民法第二百六十九条の二第一項前段に規定する地上権の設定にあっては、その目的である地下又は空間の上下の範囲及び同項後段の定めがあるときはその定め

【名古屋高裁昭和29年6月7日判決】
同法第四条【※現借地借家法5条1項及び6条】第五条【※現借地借家法4条】による更新は地上権者の更新請求という意思表示により設定者の意思如何を問はず形式的に設定せられる新たなる地上権、若くは当事者の合意により新たに設定せられる地上権であるから同法第四条第五条による更新前の地上権と更新後の地上権は同一ではない
借地法第六条【※現借地借家法5条2項】により更に設定したものと看做される地上権も亦従前の地上権とは同一ではなく法律上新たな地上権が設定されるのである。
要するに従前の地上権の期間が延長されて存続するのではなくて従前の地上権は期間満了によりて消滅し新たに別個の地上権が設定されるのである。
即ち上告人等が現存していると主張する地上権は明治三十五年四月十七日に設定された地上権ではないから明治三十五年四月十七日に設定された地上権についての登記の抹消を求むる被上告人【昭和23年2月25日に土地を取得して所有者となった者】の本訴請求を拒否し得ないのである。
※【 】内は筆者加筆。

【最高裁昭和59年4月5日判決】
借地法七条【※現借地借家法7条1項】により建物所有を目的とする地上権の存続期間が延長された場合、右期間延長の効力が生ずる前と後とで地上権の同一性が失われるものと解することはできないから、期間延長の効力の生ずる前に右地上権についてされた登記は、期間延長の効力が生じた後の地上権についてもこれを表示するものとして、効力を有するものと解すべきである。
※【 】内は筆者加筆。

令和元年7月30日法務省法制審議会民法・不動産登記法部会第6回部会資料9「不動産登記制度の見直し(2)」19頁
登記記録上に公示されている存続期間が満了している場合には,当該権利は存続期間の満了により消滅したものとして公示されているのであって,実体上は存続期間の更新により当該権利が存続していたとしても,それはもはや第三者に対して対抗することができないものにすぎない

6.時効取得の対抗要件
他人の土地であっても,所有の意思をもって平穏・公然と占有すれば、占有開始時に悪意有過失なら20年間(民法162条1項),善意無過失なら10年間(同条2項)の占有継続により,当該土地の所有権を時効取得できます。

もっとも,「時効により不動産の所有権を取得した者は,時効完成に当該不動産を譲り受けて所有権移転登記を了した者に対しては,時効取得した所有権を対抗することができるが,時効完成に当該不動産を譲り受けて所有権移転登記を了した者に対しては,特段の事情のない限り,これを対抗することができない」と解されています(【最高裁平成18年1月17日判決】)。

具体的には次のとおりとなります。

・時効取得を対抗できるケース
(1) 2010年1月1日Aの土地をBが善意で占有開始

(2) 2018年1月1日AがCに土地売却(AからCへ所有権移転登記)

(3) 2020年1月1日Bの占有開始から10年経過(時効完成

このケースでは,Cは時効完成の第三者となるため,民法177条「第三者」には該当せず,BはCに対し所有権の時効取得を対抗できます。

・時効取得を対抗できないケース
(1) 2010年1月1日Aの土地をBが善意で占有開始

(2) 2020年1月1日Bの占有開始から10年経過(時効完成

(3) 2021年1月1日AがCに土地売却(AからCへ所有権移転登記)

このケースでは,Cは時効完成の第三者となるため,原則として民法177条「第三者」に該当し,BはCに対し所有権の時効取得を対抗できません。

もっとも,このケースでも,上記(3)からさらに10年経過した場合(要するにCが所有権移転登記を具備した後も漫然とBによる占有状態を放置していた場合)には,BはCに対し,C名義の所有権移転登記の設定登記の日を起算点とする再度の時効取得を対抗することができると解されています(【最高裁昭和36年7月20日判決】【東京地裁令和4年3月10日判決】)。

なお,この理は,上記(3)が所有権移転登記ではなく抵当権設定登記であっても基本的に妥当します(【最高裁平成24年3月16日判決】

ただし,Bが占有開始時を起算点とする当初の所有権の取得時効を援用してしまうと,占有開始時に遡って確定的に所有権を取得することとなり(民法144条),もはや抵当権の設定登記時を起算点とする再度の取得時効の援用は認めらなくなり,Cには対抗できなくなるので(【最高裁平成15年10月31日判決】),BがCに対抗するためには,占有開始時を起算点とする当初の取得時効は援用せずに,Cの抵当権設定登記時を起算点とする再度の取得時効のみを援用する必要があります。

この点,時効援用者が取得時効の起算点を任意に選択することはできませんが(【最高裁昭和35年7月27日判決】),上記【最高裁平成15年10月31日判決】【最高裁平成24年3月16日判決】を整合的に理解するとすれば,取得時効の援用権者は,「占有開始時」か「抵当権設定登記時」のいずれかを起算点として選択することは例外的に許されるものの,一旦「占有開始時」を起算点として選択して取得時効を援用した以上は,その後に改めて「抵当権設定登記時」を起算点として選択して再度の取得時効を援用することは許されないということになります。

【民法144条】
時効の効力は、その起算日にさかのぼる。

【民法162条】
1 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

【最高裁昭和35年7月27日判決】
時効が完成しても、その登記がなければ、その後に登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗しえない(民法一七七条)のに反し、第三者のなした登記後に時効が完成した場合においてはその第三者に対しては、登記を経由しなくとも時効取得をもつてこれに対抗しうることとなると解すべきである。
しからば、結局取得時効完成の時期を定めるにあたつては、取得時効の基礎たる事実が法律に定めた時効期間以上に継続した場合においても、必らず時効の基礎たる事実の開始した時を起算点として時効完成の時期を決定すべきものであつて、取得時効を援用する者において任意にその起算点を選択し、時効完成の時期を或いは早め或いは遅らせることはできないものと解すべきである。

【最高裁昭和36年7月20日判決】
本件山林は、もとAの所有するところであつたが、被上告人(控訴人、原告)の被承継人Bは明治三八年五月二九日より大正四年五月二九日まで一〇年間これを所有の意思をもつて平穏、公然、善意、無過失に占有を継続し、ために大正四年五月二九日に取得時効が完成したもののその登記を経ることなく経過するうち、同一五年八月二六日上告人(被控訴人、被告)がAより右山林の寄附をうけてその旨の登記を経由するに至つたところ、Bはさらに右登記の日より昭和一一年八月二六日まで一〇年間引き続き所有の意思をもつて平穏、公然、善意、無過失に占有を継続したというのである。
されば、前記Bは右時効による所有権の取得をその旨の登記を経由することなくても上告人に対抗することができる。

【最高裁平成15年10月31日判決】
※被上告人が,A所有の土地を,昭和37年2月17日に占有開始し,同57年2月17日以降も本件土地の占有を継続していたところ,Aは,昭和58年12月13日,同土地につき,C名義の抵当権を設定し,その後,被上告人は,昭和37年2月17日を起算点として20年間占有を継続したとして,Aに対し所有権の取得時効を援用し,平成11年6月15日,同土地につき「昭和37年2月17日時効取得」を原因とする所有権移転登記を了した上,同抵当権の設定登記日である昭和58年12月13日から更に10年間本件土地の占有を継続したことにより時効が完成したとして,再度,取得時効を援用し,同抵当権の抹消登記手続を求めた事案。

被上告人は,時効の援用により,占有開始時の昭和37年2月17日にさかのぼって本件土地を原始取得し,その旨の登記を有している。
被上告人は,上記時効の援用により確定的に本件土地の所有権を取得したのであるから,このような場合に,起算点を後の時点にずらせて,再度,取得時効の完成を主張し,これを援用することはできないものというべきである。
そうすると,被上告人は,上記時効の完成後に設定された本件抵当権を譲り受けた上告人に対し,本件抵当権の設定登記の抹消登記手続を請求することはできない。

【最高裁平成18年1月17日判決】
時効により不動産の所有権を取得した者は,時効完成に当該不動産を譲り受けて所有権移転登記を了した者に対しては,時効取得した所有権を対抗することができるが,時効完成に当該不動産を譲り受けて所有権移転登記を了した者に対しては,特段の事情のない限り,これを対抗することができないと解すべきである
<中略>
民法177条にいう第三者については,一般的にはその善意・悪意を問わないものであるが,実体上物権変動があった事実を知る者において,同物権変動についての登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情がある場合には,登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有しないものであって、このような背信的悪意者は,民法177条にいう第三者に当たらないものと解すべきである。
そして,甲が時効取得した不動産について,その取得時効完成後に乙が当該不動産の譲渡を受けて所有権移転登記を了した場合において,乙が,当該不動産の譲渡を受けた時点において,甲が多年にわたり当該不動産を占有している事実を認識しており,甲の登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情が存在するときは,乙は背信的悪意者に当たるというべきである。
取得時効の成否については,その要件の充足の有無が容易に認識・判断することができないものであることにかんがみると,乙において,甲が取得時効の成立要件を充足していることをすべて具体的に認識していなくても,背信的悪意者と認められる場合があるというべきであるが,その場合であっても,少なくとも,乙が甲による多年にわたる占有継続の事実を認識している必要があると解すべきであるからである。 
以上によれば,上告人らが被上告人による本件通路部分の時効取得について背信的悪意者に当たるというためには,まず,上告人らにおいて,本件土地等の購入時,被上告人が多年にわたり本件通路部分を継続して占有している事実を認識していたことが必要であるというべきである。
ところが,原審は,上告人らが被上告人による多年にわたる占有継続の事実を認識していたことを確定せず,単に,上告人らが,本件土地等の購入時,被上告人が本件通路部分を通路として使用しており,これを通路として使用できないと公道へ出ることが困難となることを知っていたこと,上告人らが調査をすれば被上告人による時効取得を容易に知り得たことをもって,上告人らが被上告人の時効取得した本件通路部分の所有権の登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する第三者に当たらないとしたのであるから,この原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

【最高裁平成24年3月16日判決】
不動産の取得時効の完成後,所有権移転登記がされることのないまま,第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において,上記不動産の時効取得者である占有者が,その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したときは,上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り,上記占有者は,上記不動産を時効取得し,その結果,上記抵当権は消滅すると解するのが相当である。
その理由は,以下のとおりである。
ア 取得時効の完成後,所有権移転登記がされないうちに,第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了したならば,占有者がその後にいかに長期間占有を継続しても抵当権の負担のない所有権を取得することができないと解することは,長期間にわたる継続的な占有を占有の態様に応じて保護すべきものとする時効制度の趣旨に鑑みれば,是認し難いというべきである。
イ そして,不動産の取得時効の完成後所有権移転登記を了する前に,第三者に上記不動産が譲渡され,その旨の登記がされた場合において,占有者が,上記登記後に,なお引き続き時効取得に要する期間占有を継続したときは,占有者は,上記第三者に対し,登記なくして時効取得を対抗し得るものと解されるところ(最高裁昭和34年(オ)第779号同36年7月20日第一小法廷判決・民集15巻7号1903頁),不動産の取得時効の完成後所有権移転登記を了する前に,第三者が上記不動産につき抵当権の設定を受け,その登記がされた場合には,占有者は,自らが時効取得した不動産につき抵当権による制限を受け,これが実行されると自らの所有権の取得自体を買受人に対抗することができない地位に立たされるのであって,上記登記がされた時から占有者と抵当権者との間に上記のような権利の対立関係が生ずるものと解され,かかる事態は,上記不動産が第三者に譲渡され,その旨の登記がされた場合に比肩するということができる。
また,上記判例によれば,取得時効の完成後に所有権を得た第三者は,占有者が引き続き占有を継続した場合に,所有権を失うことがあり,それと比べて,取得時効の完成後に抵当権の設定を受けた第三者が上記の場合に保護されることとなるのは,不均衡である。
これを本件についてみると,前記事実関係によれば,昭和55年3月31日の経過により,被上告人のために本件旧土地につき取得時効が完成したが,被上告人は,上記取得時効の完成後にされた本件抵当権の設定登記時において,本件旧土地を所有すると信ずるにつき善意かつ無過失であり,同登記後引き続き時効取得に要する10年間本件旧土地の占有を継続し,その後に取得時効を援用したというのである。
そして,本件においては,前記のとおり,被上告人は,本件抵当権が設定されその旨の抵当権設定登記がされたことを知らないまま,本件旧土地又は本件各土地の占有を継続したというのであり,被上告人が本件抵当権の存在を容認していたなどの特段の事情はうかがわれない。
そうすると,被上告人は,本件抵当権の設定登記の日を起算点として,本件旧土地を時効取得し,その結果,本件抵当権は消滅したというべきである。

【東京地裁令和4年3月10日判決】
不動産の取得時効が完成しても、その登記がなければ、その後に所有権取得登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗しえないが、第三者の登記後に、占有者がなお引き続き時効取得に要する期間占有を継続した場合には、その第三者に対し、登記を経由しなくとも時効取得をもつて対抗しうるものと解すべきである。

7.登記義務
不動産売買において,売主は,買主に対し,契約上及び法律上,所有権移転登記義務を負っています(以前は法律上の明文規定はありませんでしたが,令和2年4月1日施行改正民法560条で明文化されました)。

もっとも,これは,買主に対する義務であり,仮に所有権移転登記手続を怠ったとしても,買主から損害賠償請求等される可能性があるだけで,法律上の罰則(刑事罰や過料等の行政罰)はありません

というのも,「権利の登記」は,あくまで「権利」であって「義務」ではないため,当事者間の合意により,権利変動を登記しないことは自由です。

例えば,建物の引渡しにより対抗要件を具備できる建物賃借権(借地借家法31条)などは,むしろ賃借権の登記をしないのが一般的です。

もっとも,令和6年4月1日施行改正不動産登記法により,「権利変動」の中でも,「相続」,(相続人に対する)「遺贈」及び「遺産分割」による権利変動だけは,これを知った日から原則3年(施行日前に相続開始している場合は相続開始を知った日又は施行日のいずれか遅い日から3年)以内の登記申請が義務化され,正当な理由(具体例は下記(1)~(5)参照)なくこれを怠ると10万円以下の過料に処せられることがあります(不動産登記法76条の2第1項,76条の3第4項,164条,民法等の一部を改正する法律(令和3年4月28日法律第24号)附則5条6項)。

(1) 相続人が極めて多数に上り戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合

(2) 遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合

(3) 相続登記の義務者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合

(4) 相続登記の義務者が配偶者暴力防止法1条2項の被害者その他これに準ずる者でその生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合

(5) 相続登記の義務者が経済的に困窮しており登記申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合

►法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」3-Q5参照。

また,令和8年4月1日以降は,「所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったとき」も,変更があった日から2年以内に変更の登記を申請することが義務付けられ,正当な理由なくこれを怠ると5万円以下の過料に処せられることがあります(不動産登記法76条の5,164条2項)。

これに対し,「表題登記」(表示の登記)は,基本的に全て1か月以内に登記を申請することが義務付けられており,上記相続登記と同様,正当な理由なくこれを怠ると10万円以下の過料に処せられることがあります(不動産登記法36条,37条,42条,47条,49条,51条,57条,58条,164条)。

【民法560条】
売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う。

【借地借家法31条】
建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。

【不動産登記法27条】
土地及び建物の表示に関する登記の登記事項は、次のとおりとする。

一 登記原因及びその日付

二 登記の年月日

三 所有権の登記がない不動産(共用部分(区分所有法第四条第二項に規定する共用部分をいう。以下同じ。)である旨の登記又は団地共用部分(区分所有法第六十七条第一項に規定する団地共用部分をいう。以下同じ。)である旨の登記がある建物を除く。)については、所有者の氏名又は名称及び住所並びに所有者が二人以上であるときはその所有者ごとの持分

四 前三号に掲げるもののほか、不動産を識別するために必要な事項として法務省令で定めるもの

【不動産登記法34条1項】
土地の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 土地の所在する市、区、郡、町、村及び字

二 地番

三 地目

四 地積

【不動産登記法36条】
新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。

【不動産登記法37条】
1 地目又は地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。

2 地目又は地積について変更があった後に表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記又は所有権の登記があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。

【不動産登記法42条】
土地が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から一月以内に、当該土地の滅失の登記を申請しなければならない。

【不動産登記法44条1項】
建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)

二 家屋番号

三 建物の種類、構造及び床面積

四 建物の名称があるときは、その名称

五 附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である附属建物にあっては、当該附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)並びに種類、構造及び床面積

六 建物が共用部分又は団地共用部分であるときは、その旨

七 建物又は附属建物が区分建物であるときは、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積

八 建物又は附属建物が区分建物である場合であって、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称

九 建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権

【不動産登記法47条1項】
新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。

【不動産登記法49条1項柱書前段】
二以上の建物が合体して一個の建物となった場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める者は、当該合体の日から一月以内に、合体後の建物についての建物の表題登記及び合体前の建物についての建物の表題部の登記の抹消(以下「合体による登記等」と総称する。)を申請しなければならない。

【不動産登記法51条】
1 第四十四条第一項各号(第二号及び第六号を除く。)に掲げる登記事項について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、当該変更があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。

2 前項の登記事項について変更があった後に表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記又は所有権の登記があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。

3 以下省略

【不動産登記法57条】
建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。

【不動産登記法58条】
1~5 省略

6 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物について共用部分である旨又は団地共用部分である旨を定めた規約を廃止した場合には、当該建物の所有者は、当該規約の廃止の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。

7 前項の規約を廃止した後に当該建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。

【不動産登記法76条の2】
1 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。

2 前項前段の規定による登記(民法第九百条及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてされたものに限る。次条第四項において同じ。)がされた後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。

3 省略

【不動産登記法76条の3】
1 第七十六条の三前条第一項の規定により所有権の移転の登記を申請する義務を負う者は、法務省令で定めるところにより、登記官に対し、所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出ることができる。

2~3 省略

4 第一項の規定による申出をした者は、その後の遺産の分割によって所有権を取得したとき(前条第一項前段の規定による登記がされた後に当該遺産の分割によって所有権を取得したときを除く。)は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。

5 以下省略

【不動産登記法164条】
第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

【民法等の一部を改正する法律(令和3年4月28日法律第24号)附則5条】
1 二条の規定(附則第一条各号に掲げる改正規定を除く。)による改正後の不動産登記法(以下「新不動産登記法」という。)第六十三条第三項、第六十九条の二及び第七十条の二の規定は、施行日以後にされる登記の申請について適用する。

2 新不動産登記法第七十条第二項の規定は、施行日以後に申し立てられる公示催告の申立てに係る事件について適用する。

3 新不動産登記法第百二十一条第二項から第五項までの規定は、施行日以後にされる登記簿の附属書類の閲覧請求について適用し、施行日前にされた登記簿の附属書類の閲覧請求については、なお従前の例による。

4 第二条の規定(附則第一条第二号に掲げる改正規定に限る。)による改正後の不動産登記法(以下「第二号新不動産登記法」という。)第七十三条の二の規定は、同号に掲げる規定の施行の日(以下「第二号施行日」という。)以後に登記の申請がされる所有権の登記の登記事項について適用する。

5 登記官は、第二号施行日において現に法人が所有権の登記名義人として記録されている不動産について、法務省令で定めるところにより、職権で、第二号新不動産登記法第七十三条の二第一項第一号に規定する登記事項に関する変更の登記をすることができる。

6 第二号新不動産登記法第七十六条の二の規定は、第二号施行日前に所有権の登記名義人について相続の開始があった場合についても、適用する。この場合において、同条第一項中「所有権の登記名義人」とあるのは「民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第二十四号)附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日(以下この条において「第二号施行日」という。)前に所有権の登記名義人」と、「知った日」とあるのは「知った日又は第二号施行日のいずれか遅い日」と、同条第二項中「分割の日」とあるのは「分割の日又は第二号施行日のいずれか遅い日」とする。

7 第二条の規定(附則第一条第三号に掲げる改正規定に限る。)による改正後の不動産登記法(以下この項において「第三号新不動産登記法」という。)第七十六条の五の規定は、同号に掲げる規定の施行の日(以下「第三号施行日」という。)前に所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があった場合についても、適用する。この場合において、第三号新不動産登記法第七十六条の五中「所有権の登記名義人の」とあるのは「民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第二十四号)附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日(以下この条において「第三号施行日」という。)前に所有権の登記名義人となった者の」と、「あった日」とあるのは「あった日又は第三号施行日のいずれか遅い日」とする。

【不動産登記法76条の5】※令和8年4月1日施行予定
所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から二年以内に、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記を申請しなければならない。

【不動産登記法164条2項】※令和8年4月1日施行予定
第七十六条の五の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、五万円以下の過料に処する。

※本頁は多湖・岩田・田村法律事務所の法的見解を簡略的に紹介したものです。事案に応じた適切な対応についてはその都度ご相談下さい。


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