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更新:2024年3月23日 
 事例

マンション管理適正化法が適用されるマンション及びマンション管理業とは何か。

 解説

1.マンション管理適正化法とは
マンションの管理の適正化の推進に関する法律(通称「マンション管理適正化法」)は,多数の区分所有者が居住するマンションの重要性が増大していることに鑑み、マンションの管理の適正化を推進するための措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、もって国民生活の安定向上等に寄与することを目的して,平成13年8月1日に施行されました。

マンション管理適正化法が適用されるマンションの管理業者は,マンション管理組合との間で管理受託契約を締結・遂行するにあたり次のような義務が課されます。 

① 管理受託契約締結前の重要事項説明義務(マンション管理適正化法72条)
►重要事項説明書の例

② 管理受託契約締結時の契約書面交付義務(同法73条)
►マンション標準管理委託契約書(H30.3改訂)
►マンション標準管理委託契約書コメント

③ 管理組合の事業年度終了後の管理事務報告書の作成・報告義務(同法77条)

④ 修繕積立金等の管理組合財産と自己の固有財産の分別管理義務(同法76条)
►国土交通省令で定める分別管理の方法

⑤ 公衆の見やすい場所への標識の掲示義務(同法71条)
►マンション管理業者の標識  

⑥ 基幹事務について一括再委託の禁止(同法74条)
►基幹事務とは  

⑦ 帳簿の作成・保存義務(同法75条)  

⑧ 業務状況調書等の備置・閲覧提供義務(同法79条)
►業務状況調書  

⑨ 秘密保持義務(同法80条及び87条)

⑩ 従業者証明書の携帯等の義務(同法88条)
►従業者証明書

【マンション管理適正化法1条】
この法律は、土地利用の高度化の進展その他国民の住生活を取り巻く環境の変化に伴い、多数の区分所有者が居住するマンションの重要性が増大していることに鑑み、基本方針の策定、マンション管理適正化推進計画の作成及びマンションの管理計画の認定並びにマンション管理士の資格及びマンション管理業者の登録制度等について定めることにより、マンションの管理の適正化の推進を図るとともに、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

2.マンション管理適正化法の適用されるマンション及びマンション管理業とは
マンション管理適正化法の適用される「マンション」は,二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるもの」をいいます(マンション管理適正化法2条1号イ)。

区分所有者が一人しかいない建物や専ら事業用の建物(居住の用に供する専有部分がない建物)については,マンション管理適正化法は適用されません。

【マンション管理適正化法2条】
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。

一 マンション 次に掲げるものをいう。

イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設

ロ 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設

二 マンションの区分所有者等 前号イに掲げる建物の区分所有者並びに同号ロに掲げる土地及び附属施設の同号ロの所有者をいう。

三 管理組合 マンションの管理を行う区分所有法第三条若しくは第六十五条に規定する団体又は区分所有法第四十七条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)に規定する法人をいう。

四 管理者等 区分所有法第二十五条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)の規定により選任された管理者又は区分所有法第四十九条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)の規定により置かれた理事をいう。

五 マンション管理士 第三十条第一項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。

六 管理事務 マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。以下同じ。)を含むものをいう。

七 マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。

八 マンション管理業者 第四十四条の登録を受けてマンション管理業を営む者をいう。

九 管理業務主任者 第六十条第一項に規定する管理業務主任者証の交付を受けた者をいう。

 結論

以上より,区分所有者が一人しかいない建物や専ら事業用の建物(居住の用に供する専有部分がない建物)については,マンション管理適正化法は適用されません。

 実務上の注意点

3.第三者管理方式
マンション管理組合では,通常,理事長が選任され,理事長が区分所有法上の「管理者」として,管理組合を代表し,管理組合の運営に必要な業務執行を行います(区分所有法25条1項,26条,28条)。

ただ,昨今は理事長及のなり手不足に対管理るため,管理組合内に理事長職を置かず,組合員(区分所有者)以外の不動産管理業者(第三者)を区分所有法上の「管理者」に選任する「第三者管理方式」が増えております。
►管理業者が管理者となる管理形態の現状等について

もっとも,マンション管理適正化法は,マンション管理業者に一定の業務規制を加えるもので,区分所有法上の「管理者」そのものに対し業務規制を加えるものではありません。

従って,例えば,マンション管理業者は、修繕積立金等金銭を管理する場合、収納・保管口座に係る管理組合の印鑑や預貯金の引出用カードを管理することは禁止されていますが(同法施行規則第87条4項),区分所有法上の「管理者」としての立場でこれらを管理することは理論上許される余地があり,同法の業務規制の潜脱となるおそれがあります。
►管理業者が管理者となる場合のマンション管理適正化法に係る解釈・運用について  

そのため,2023年10月,国交省は,外部専門家等の活用のあり方に関するワーキンググループを設置し,現在,管理形態における留意事項を示したガイドラインの整備等に向けた検討を行っています。

【区分所有法25条1項】
区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。

【区分所有法26条】
1 管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第四十七条第六項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。

2 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。

3 管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

4 管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。

5 管理者は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。

【区分所有法28条】
この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う

【マンション管理適正化法施行規則87条4項】
マンション管理業者は、第二項第一号イからハまでに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、保管口座又は収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはならない。。ただし、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は、この限りでない。

※本頁は多湖・岩田・田村法律事務所の法的見解を簡略的に紹介したものです。事案に応じた適切な対応についてはその都度ご相談下さい。


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