【逮捕】 |
逮捕には現行犯逮捕と通常逮捕があります。通常逮捕とは,裁判官の発する令状に基づく逮捕のことです。 逮捕されると,捜査本部の置かれている警察署に一旦連行され,その後,当日中に留置場の空き状況や共犯者の留置場所等を加味して留置場所の警察署が決定します(女性は,東京都内では,原宿警察署,東京湾岸警察署,警視庁西が丘分室,武蔵野警察署,警視庁多摩分室以外に留置されることはありません)。警察の留置場は,3人一部屋で,いわゆる「代用監獄」とか「ブタ箱」と呼ばれるものです。尚,以前は留置場でも,1日に2本までは煙草が吸えましたが,現在では都内の留置場は全面禁煙化されています。 |
【送検】 |
逮捕されると,東京の場合は,逮捕日の2日後に検察庁に身柄が送られます(これを「送検」あるいは「新件送致」と言います)。具体的には,被疑者を警察署の留置場から検察庁へ連行し(これを業界用語で「押送(おうそう)」といいます),そこで検察官の取調べを受け,検察官が勾留請求するか否かを決定します。 |
【勾留質問】【勾留決定】 |
送検の翌日,被疑者は,今度は警察署の留置場から裁判所へ連行され,そこで裁判官の「勾留質問」を受けます。具体的には,罪を認めるか否か,弁護士を依頼するか否か等を質問され,罪証隠滅や逃亡のおそれ等を考慮し,裁判官が「勾留決定」をします。 |
【勾留】【準抗告】 |
勾留(こうりゅう)とは,勾留請求の日を入れて最低10日間,被疑者を警察署の留置場の拘束したままにしておく処分をいいます。 勾留決定に対しては,手続上,「準抗告」(逮捕手続に違法がある場合,別件逮捕の場合等)や「執行停止」(病気,出産,近親者危篤の場合等)の申立が可能ですが,認められるケースは統計上極めて稀といわざるを得ません。 |
【勾留延長】 |
通常は,10日間の勾留期間満了前に,再度最低1回,検察庁へ連行され,そこで検察官の取調べを受け(これを業界用語で「中間」あるいは「中間調べ」といいます),検察官が勾留を延長すべきと判断した場合は,延長請求がされ,裁判官が「勾留延長」の決定をします。延長期間は最大10日ですが,10日より短い期間となることもごく稀にあるようです。 |
【終局処分】 |
延長期間満了時,検察官は,当該被疑者を(1)正式起訴するか,(2)略式起訴するか,(3)不起訴とするか,を決定します。 (1)正式起訴の場合
⇒【正式起訴】へ (2)略式起訴の場合
⇒当日中に釈放され,後日,裁判所より,略式命令が届き,そこで罰金額が確定し,その後納付するのが通常です。この場合,当日中に警察署の留置場で被疑者は釈放されます。但し,身元引受人がいる場合などは,当日の午後3時45分から午後4時30分頃の間に身元引受人が東京地裁2階にある徴収係の窓口で罰金額を納め,その場で(検察庁で),被疑者が釈放されることもあります(これを業界用語で「在庁(ざいちょう)」といいます)。 (3)不起訴の場合
⇒当日,警察署の留置場で「処分保留」のまま釈放され,数日後に正式に「不起訴」が決定します。 |
【正式起訴】 |
正式起訴の場合,以後は,「被疑者」から「被告人」へ変わり,原則として捜査・取調べ等はもう行われません。 起訴からおよそ2か月後に裁判(公判)が開かれます。余罪(追起訴)もない自白事件(被告人が罪を認めている事件)の場合には,ほぼ1回で審理は終結します。その1〜2週間後に判決が下されますが,即決裁判などでは,当日に判決が下されます。 |
【判決宣告】 |
審理終結の1〜2週間後に判決が下されますが,即決裁判などでは,当日に判決宣告されます。 判決は大きく「有罪」と「無罪」に別れ,有罪にはさらに「実刑判決」と「執行猶予判決」とがあります。 実刑判決とは,判決宣告後,刑務所へ収監される判決のことです。判決宣告から,2週間で判決は確定し,その1〜2か月後に実際に刑務所へ収監されます(これを業界用語で「垢落ち(あかおち)」といいます)。 但し,実務上は刑期の3分の2が満了すれば,事情により仮釈放が認められています。法律上は3分の1で仮釈放の可能性がありますが(刑法28条),実務上は3分の1で仮釈放が認められることはまずありません。3分の2で仮釈放が認められることを業界用語で「サンピン」,4分の3で仮釈放が認められることを業界用語で「ヨンピン」といいます)。 他方,執行猶予判決では,すぐに刑務所に収監されることはなく,執行猶予期間(3〜5年間)を無事に過ごせば,刑務所に収監されることなく,刑の言渡しは効力を失います(刑法27条)。執行猶予期間は,法律上1年〜5年ですが(刑法25条),実務上3年未満の執行猶予期間となることはほぼありません。 但し,執行猶予期間中は,刑務所に収監されることなくこれまでどおり日常生活を送れますが,旅券法13条1項3号事由に該当するため,有効期限6か月限定のパスポートのみの支給となります。尚,薬物事犯の場合は6か月限定のパスポートすら発給拒否されるケースが多いです。 |