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不動産/借地借家/マンション賃貸トラブル相談|多湖・岩田・田村法律事務所
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逮捕・勾留後の刑事弁護手続
*本項は一般的な解決手順・費用を簡略的に紹介したものです。事案に応じ解決手順・費用は異なりますので,その都度ご相談下さい。
【事例】
夫が,雑誌のマンガのキャラクターを転載してTシャツを自主制作しインターネットオークションで販売したため,著作権法違反で逮捕されたケース。

【逮捕】
逮捕には現行犯逮捕と通常逮捕があります。通常逮捕とは,裁判官の発する令状に基づく逮捕のことです。
逮捕されると,捜査本部の置かれている警察署に一旦連行され,その後,当日中に留置場の空き状況や共犯者の留置場所等を加味して留置場所の警察署が決定します(女性は,東京都内では,原宿警察署,東京湾岸警察署,警視庁西が丘分室,武蔵野警察署,警視庁多摩分室以外に留置されることはありません)。警察の留置場は,3人一部屋で,いわゆる「代用監獄」とか「ブタ箱」と呼ばれるものです。尚,以前は留置場でも,1日に2本までは煙草が吸えましたが,現在では都内の留置場は全面禁煙化されています。
【送検】
逮捕されると,東京の場合は,逮捕日の2日後に検察庁に身柄が送られます(これを「送検」あるいは「新件送致」と言います)。具体的には,被疑者を警察署の留置場から検察庁へ連行し(これを業界用語で「押送(おうそう)」といいます),そこで検察官の取調べを受け,検察官が勾留請求するか否かを決定します。
【勾留質問】【勾留決定】
送検の翌日,被疑者は,今度は警察署の留置場から裁判所へ連行され,そこで裁判官の「勾留質問」を受けます。具体的には,罪を認めるか否か,弁護士を依頼するか否か等を質問され,罪証隠滅や逃亡のおそれ等を考慮し,裁判官が「勾留決定」をします。
【勾留】【準抗告】
勾留(こうりゅう)とは,勾留請求の日を入れて最低10日間,被疑者を警察署の留置場の拘束したままにしておく処分をいいます。
勾留決定に対しては,手続上,「準抗告」(逮捕手続に違法がある場合,別件逮捕の場合等)や「執行停止」(病気,出産,近親者危篤の場合等)の申立が可能ですが,認められるケースは統計上極めて稀といわざるを得ません。
【勾留延長】
通常は,10日間の勾留期間満了前に,再度最低1回,検察庁へ連行され,そこで検察官の取調べを受け(これを業界用語で「中間」あるいは「中間調べ」といいます),検察官が勾留を延長すべきと判断した場合は,延長請求がされ,裁判官が「勾留延長」の決定をします。延長期間は最大10日ですが,10日より短い期間となることもごく稀にあるようです。
【終局処分】
延長期間満了時,検察官は,当該被疑者を(1)正式起訴するか,(2)略式起訴するか,(3)不起訴とするか,を決定します。
(1)正式起訴の場合

【正式起訴】
(2)略式起訴の場合

⇒当日中に釈放され,後日,裁判所より,略式命令が届き,そこで罰金額が確定し,その後納付するのが通常です。この場合,当日中に警察署の留置場で被疑者は釈放されます。但し,身元引受人がいる場合などは,当日の午後3時45分から午後4時30分頃の間に身元引受人が東京地裁2階にある徴収係の窓口で罰金額を納め,その場で(検察庁で),被疑者が釈放されることもあります(これを業界用語で「在庁(ざいちょう)」といいます)。
(3)不起訴の場合

⇒当日,警察署の留置場で「処分保留」のまま釈放され,数日後に正式に「不起訴」が決定します。
【正式起訴】
正式起訴の場合,以後は,「被疑者」から「被告人」へ変わり,原則として捜査・取調べ等はもう行われません。
起訴からおよそ2か月後に裁判(公判)が開かれます。余罪(追起訴)もない自白事件(被告人が罪を認めている事件)の場合には,ほぼ1回で審理は終結します。その1〜2週間後に判決が下されますが,即決裁判などでは,当日に判決が下されます。
【判決宣告】
審理終結の1〜2週間後に判決が下されますが,即決裁判などでは,当日に判決宣告されます。
判決は大きく「有罪」と「無罪」に別れ,有罪にはさらに「実刑判決」と「執行猶予判決」とがあります。
実刑判決とは,判決宣告後,刑務所へ収監される判決のことです。判決宣告から,2週間で判決は確定し,その1〜2か月後に実際に刑務所へ収監されます(これを業界用語で「垢落ち(あかおち)」といいます)。
但し,実務上は刑期の3分の2が満了すれば,事情により仮釈放が認められています。法律上は3分の1で仮釈放の可能性がありますが(刑法28条),実務上は3分の1で仮釈放が認められることはまずありません。3分の2で仮釈放が認められることを業界用語で「サンピン」,4分の3で仮釈放が認められることを業界用語で「ヨンピン」といいます)。
他方,執行猶予判決では,すぐに刑務所に収監されることはなく,執行猶予期間(3〜5年間)を無事に過ごせば,刑務所に収監されることなく,刑の言渡しは効力を失います(刑法27条)。執行猶予期間は,法律上1年〜5年ですが(刑法25条),実務上3年未満の執行猶予期間となることはほぼありません。
但し,執行猶予期間中は,刑務所に収監されることなくこれまでどおり日常生活を送れますが,旅券法13条1項3号事由に該当するため,有効期限6か月限定のパスポートのみの支給となります。尚,薬物事犯の場合は6か月限定のパスポートすら発給拒否されるケースが多いです。

【費用】(平成26年4月版)
弁護士費用起訴前:35万円(+税)〜
起訴後:20万円(+税)〜
交通費約1万6000円(内訳:警察署・検察庁・裁判所までの往復の交通費2000円×最低8往復分)*東京都内は交通費無料
謄写料約2000円(内訳:10円×約200枚)
【合計】56万8000円(+税)〜

― 費用に関する補足説明 ―
【1】逮捕されると,その3日後に「勾留決定」が行われ,以後原則として10日間勾留(身柄拘束)されます(さらに最大10日間勾留期間が延長される場合あり)。
【2】この逮捕または勾留段階(すなわち起訴前)における刑事弁護を「被疑者弁護」といい,弁護士は,(1)被疑者である夫との接見及び法的助言,(2)接見禁止解除請求(単独犯ではなく共犯事件の場合,通常は弁護士以外の者との面会が禁止されますが,家族等一定の範囲の者との面会のみ認めて欲しいという請求),(3)準抗告(犯罪の嫌疑がない,罪証隠滅の恐れがない等の理由で,勾留処分を取り消して釈放させて欲しいという請求),(4)実質的被害者との示談交渉,(5)検察官への意見書提出,等を行います。
【3】この段階では,弁護士費用として原則35万(+税)がかかります(但し,事案及び所属弁護士により増減あり。分割応相談)。
また,逮捕・勾留されている場所が東京都以外の場合,接見の際の往復の交通費を頂くことがあります(普通は実質的被害者の住所地の管轄裁判所で逮捕されますので,例えば夫が東京都在住でも,Tシャツ購入者あるいは著作権者(マンガの作者)が福島県在住の場合,福島県内の警察署の留置場で逮捕・勾留されます)。
【4】その後,被疑者が正式起訴された場合の「被告人弁護」(すなわち起訴後弁護)においては,(1)証拠の閲覧・謄写(起訴後は共犯者の供述調書等を閲覧謄写できるようになります),(2)裁判における主張立証活動(情状立証等),(3)保釈の請求(ご質問の事件では保釈保証金は200〜300万円程度が相場ですが,逃亡等しない限り判決日の2営業日後に裁判所から全額返還されます),等を行います。
もちろん,接見や示談交渉は被疑者段階から引き続き行います。
【5】この段階では,追加弁護士費用として原則20万円(+税)がかかります(但し,事案及び所属弁護士により増減あり。分割応相談)。
また,勾留場所,起訴裁判所が東京都以外の場合,接見や出廷の際の往復の交通費を頂きます(通常は,起訴前と起訴後の勾留場所は同じですが,20才未満の少年の場合は,起訴前に全件家裁送致され,少年の住所地の管轄少年鑑別所に移監されますので,例えば,東京で逮捕・勾留されても,少年が福島県在住の場合は,福島県内の管轄少年鑑別所に収監されます)。
被疑者(起訴前)弁護では,警察署へ最低3回程度(接見),被告人(起訴後)弁護では,(1)警察署へ最低2回程度(接見),(2)検察庁へ最低1回(証拠閲覧),(3)裁判所へ最低2回(審理び判決)行きますので,交通費はトータルで最低8往復分かかります(仮に1往復2000円とすると8往復で1万6000円になります)。
【6】また,供述調書等証拠書類の謄写を要する場合,実費負担頂きます。検察庁における謄写料(セルフコピーの場合)は1枚10円で,謄写枚数は概ね200枚以内で済むことがほとんどですので,通常は2000円程度で足ります。
【7】なお,当事務所で過去に扱った個人間売買における著作権法違反または商標法違反事件においては,いずれも初犯の方でしたが,10日間の勾留満期日当日に罰金50万円(略式起訴)で釈放されているケースがほとんどです。


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